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舞城王太郎「煙か土か食い物」読了。


煙か土か食い物 (講談社文庫)煙か土か食い物 (講談社文庫)
(2004/12/14)
舞城 王太郎

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久々に再読。
舞城王太郎の話はまず主題がはっきりしていて、その主題を伝えるために、ミステリやらなんやら書きたいジャンルのガジェットを付け足して勢いで読ませてくれる。舞城王太郎の小説の主題は一貫して「愛」。家族だったり人間だったりするけど、基本的に愛。「ジョジョのテーマは人間賛歌」みたいな捉え方でいいと思う。ガジェットがぶっ飛んでいるからそうは思えないけど、いやガジェットがぶっ飛んでいるからこそテーマがはっきり浮き出るし、カタルシスもあるんだと思う。

主人公の奈津川四郎は、アメリカで働く外科医。日本で母親が事件に巻き込まれ意識不明の重体になり、帰国。母親が被害者になった事件は、連続主婦殴打生き埋め事件と名付けられ複数の被害者が出ている事件。四郎は母親に重症を負わせた犯人を見つけるため、独自に捜査を始める。悪名高い奈津川家。奈津川兄弟と父親との諍いが回想されながら物語は進んで行く。

なるほど愛ってのは、「神は至る所に存在する、ただ見えないだけ」と同様見る能力感じる能力があるかってことに尽きるのか。二郎は暴力の化身で移動式地獄と呼ばれているけど、それでも四郎は兄として愛しているし、そして二郎も含めて兄弟が最強だと信じている。奈津川家の血を貫くのは紛れもなく暴力だけど、奈津川兄弟は子どもの頃は暴力の間にある愛を見つけようとするし、大人になってからは暴力の中から愛を見つけようとする。

肉親ってやつはそんなもんなんかもしれんなぁ。お互いを素直に認め合ったりはしないし、普通は距離を置いて厄介がっているけど、危機の時には集まるし離れていても繋がっている。繋がっている事実が疎ましい時もあるし、繋がっていることを確認することが自分を確認することになることもある。家族ってのはよくわからん。よくわからんけど愛されるってのが家族みたい。

家族なんて他人に自慢できる点なんて何もないし、そもそも他人に話したいとも思えないけど、でもその場にいてもいなくても気になってしまうのが家族なのかと思った。家族-他人って何気なく対比したけどこれも血で分けて考えているってことだもんな。家族じゃなかったら会話も成立しない人もいるだろうけど家族だからというだけで、ものすごく仲のいい友だち以上の関係になるんだし。

「人間死んだら、煙か土か食い物になるんや」家族からのこの言葉を呪いとして受け止めた四郎はどうやって救われるのか。怒涛のごとく進んでいく奈津川兄弟は爽快そのもので、文体でここまで勝負ができる舞城王太郎はすごいなぁと思います。
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